IEP Program (2)
3. 大学から提供される奨学援助
派遣生に対する基本的な援助内容は、授業料免除(tuition waiver)と住居費・食費免除(room and board waiver)ですが、ティーチング・アシスタントシップ(teaching assistantship)や奨学金(scholarships/grants)を組み合わせたり、給与もしくは奨学金の支給額から派遣生自身が授業料 および住居費、食費を支払うという方法を取る大学もあります。各大学の援助内容の詳細は、各大学がAlliance for Language Learning and Educational Exchange (ALLEX)と取り交わすIEP参加合意書、Letter of Agreementに明記され、派遣生に渡されます。
【ティーチング・アシスタントシップ(Teaching Assistantship)について】
ティーチング・アシスタントシップとは、学生でありながら講座を受け持つ、あるいは講義や試験の採点など教授の補佐を受け持つことに対して支払われる奨学 援助制度のことで、通常、限られた学生を対象に、仕事量によって支給額が割り当てられます。また、予算難に直面しているアメリカの大学では、全般的に奨学 援助の額、定員枠共に縮小される傾向にあり、学生が大学から財政的な援助を受けることは更に難しくなってきています。 特に外国人留学生の場合は、原則として大学側に財政的な負担をかけないことを入学許可の前提としているため、奨学援助が適用されることはまれです。また、 アメリカの大学では、ティーチング・アシスタントシップの対象が大学院生のみである場合が多く、ティーチング・アシスタントシップを適用しIEPに参加す る大学の多くは、派遣生が大学院課程に入学することを条件にしています。
4. 日本語講師として
IEP派遣生は原則として派遣先大学の日本語講座を受け持ちます。講座には、IEPにより新設される講座、IEPにより維持・運営されている講座、IEP 以外で確立された講座があります。それぞれの講座環境で派遣生が担当する職務は以下のとおりです。
IEPによって新設される日本語講座
授業はもちろん、講義要綱(course syllabus)の作成からテストの作成、採点、そして成績評価まで、専任講師として講座の運営全般が任されます。また、所属学部の教授会議 (faculty meeting)への出席を求められることもあります。
IEPによって維持・運営されている日本語講座
講座の運営全般について、任期修了の前任派遣生から引き継ぐか、任期中の前任生と協力しながら責務を分担します。基本的な責務内容は上記新設の場合と同じ です。
IEP以外で確立された日本語講座
主任教授(または講師)の指導の下、授業やテスト採点など講座の運営補佐に当たります。
大学の日本語講座以外で教えることを条件とする大学もあります。以下は、その例です。
高校の日本語講座
派遣先大学の担当者の指示に従って、高校の担任教員と連携を保ちながら授業やテスト採点など講座の運営補佐を担当します。また、高校に担任教員がいない場 合は、責任者の指示や教育委員会等により定められた規則に従い、講座の運営全般を任されます。
市民のための日本語講座
市民を対象にした日本語講座の講師として招請される場合もあります。そうした講座は、大学が取り組む生涯教育事業の一環として、概してビジネス会話など、 地域の社会人向けの実利的な内容です。授業も週1回か2回夕方もしくは夜に設けられるのが普通です。派遣生は大学の担当者と講座の責任者の指示に従って、 授業やドリルを担当します。
土曜日の日本人学校での補習講座
アメリカで仕事をしている日本人の家庭の子女が土曜日に受講する授業を受け持ちます。日本での教員資格は必要ありませんが、子供たちに対する責任ある指導 とその準備が求められます。基本的には土曜日の4.5時間の授業とその準備のためのオフィスワークとなります。
5. 学生として
IEPでは、派遣生は日本語教師であると同時に学生でもあります。赴任先では日本語を教えることで奨学援助が約束されますが、原則として、留学生として学 期ごとに定められた単位数を履修し、必要とされる成績を維持しなければなりません。従って、IEP派遣では、日本語教育と学業を両立させることが必要条件 となります。IEPで充実した学生生活を実現するためにも、専攻(major)と学位課程(degree program)を慎重に選ぶことが大切です。その第一歩は、具体的に何を勉強したいのか、学部と大学院のどちらで勉強したいのか、それは自分の知識と能 力に見合うものなのか、また、それは実際IEP参加大学で履修できそうなものなのかを熟慮し、周到な下調べをすることです。 興味のある分野はあっても、それがアメリカの大学で具体的にどのように勉強できるのかよく分からない場合は、大学のカタログなどを調べ、その分野の学位 課程のコースワークやカリキュラム、入学に必要な条件を理解しておきましょう。いずれにしても、学位を決める前に次に挙げることを念頭に置いてください。
大学院課程に ついて
大学院課程への入学には、学部成績(undergraduate GPA)も大切ですが、専攻分野の必修講座(prerequisites)が既に履修されているかが重要なポイントとなります。通常、修士課程は2年で修 了できるカリキュラムになっていますが、それは学部レベルの必修講座を履修していることが前提です。つまり、学部時と異なる専攻に進む場合、2年間で修士 号が取得できるとは限りません。なお、ビジネス修士(MBA)は、学部時の専攻や履修講座にかかわらず学位取得に2年以上かかる場合が多く、また、自然科 学系分野など専攻によっては、学部専攻が同一であることを入学許可条件にしている大学院もあります。
専攻にかかわらず、大学院課程は勉強面で非常に努力を要します。特に学部時から専攻を変える場合、知識の蓄積のない分一層の努力と強い動機が必要です。し かも、大学院だからといって初めから好みの講座が履修できるわけではありません。大学院でも1年目は必修の基本講座(core courses)があり、興味のない講座も取らなければならないことを覚悟しておくべきです。
学部課程につ いて
学部課程に入学する場合、既に学士号を取得していれば通常3年次への編入となります。しかし、人文あるいは社会科学から自然科学、またはその逆のように極 端な専攻の転向をすると、まずその科目の必修講座(prerequisites)を履修しなければならないため、課程の修了に2年以上かかることがありま す。短期大学卒業の場合でも同様ですが、大学によって認定される一般教養課程の単位が異なり、2年間での学士号取得が難しい場合もあります。